年代物の建築がまた消えて・・・・・・・・・

 こんばんは.マイロネフです.

 

今朝の当地の地域紙「長野市民新聞」の記事によりますと,長野市南部の老舗日本料理店の旧店舗が今般,都市計画道路建設のため解体撤去されることになったということです.

そのお店は看板だけは私も少年期から知ってはいましたが,本館が今日では超レアな木造3階建てとは全く気付いておりませんでした.

さらに同記事によれば,鶴亀が彫刻された天井,銘木を使用した床柱,組子細工などの特色あるインテリアは専門家が「文化財モノ」と評価するほどで,地元の各種有力団体は署名集めなどをして長野市による保存活用の実現に努力をしました.

しかし,民有資産の保全自治体が主導しての公的資金(税金)による援助はできない建前論が障壁となって一頓挫.経営者側も移築保存は断念され,消滅は避けられない結果になってしまいました.

知らずに画像の撮影など記録しそびれたのは私としても残念です.

この都市計画道路自体が今後必要なのか,総人口が減少傾向の今の時代となっては疑問を感じます.渋滞対策なら車の総量を減らす方が得策だと思うのですが.

同地区では他にも,1~2軒しか現存していなかった,この茅葺き古民家も

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残念ながらこの1~2年の間に解体され,小ぢんまりした住宅に建て替えられたようです.この建物は近年は住居として使用されていなかった模様なので,そうなるのは以前から時間の問題と気には懸けていました.

しかし茅(カヤ)の葺き替えだけで新築並みともいわれる¥費用負担が最大の問題で,有効に活用されるあてがなく,しかも経済的にもメリットが何も無いとなると他人様の資産のことですからどうにもなりません.

 

城下町として著名なこちらの地区

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でも事情は同様で,

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f:id:maironef:20190817183217j:plainこの屋敷門は特に激レアな茅葺きでしたが,やはり所有者の事情で門の本体部分が切り取られ,駐車場として活用されることになったといいます.資材は一応地元有志の力で保管されてはいるものの,移築復元の見込みは現時点では報じられてはおりません.

概して民間,特に個人所有の歴史的な建築物件は,自治体などが“口は出しても金は出さない”ため,のしかかるその負担が持ちこたえられなくなっている例が多く,所有者のとかくの不満の種になっています.

京都の町家建築などは最近一段と危機的な状況が深刻化しているようですね.普通,修学旅行では日本史の学習に関わる代表的な社寺は見学してもその辺までは調べないことが多いので,気付かないうちに古都らしい風情も,日本的な旅情も消滅してしまうのではないでしょうか.

政府などが“日本の伝統文化を尊重して守る”気があるなら,その形を残す具体的な支援策と人材の育成策が必要です.標語だけを叫ぶ精神主義,根性主義では誰も協力できませんし,“努力義務”と称して所有者にのみ負担を押し付けるのは無責任です.

件の料理店では,その旧店舗の見るべき資材の一部は新店舗に活用されるというのがせめてもの救いです.ついでにそのお店のすぐ近くにあるこの木造建築も,今後見逃せない存在になるかもしれません.

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 それではまた.