では前段の続きで,ちひろ公園にある元長野電鉄の電車の内外をもう少し詳しく見てみましょう.
先ずは“電車の教室”を再現したデハニ201号の内部から.
荷物室から見る運転室の方向です.仕切りは路面電車のような簡易な構造です.
デハニ201の運転室の内部.
同車輌のマスコン(主幹制御器)です.アメリカ・ウェスティングハウス社製で,1954年 1月20日,池袋―御茶ノ水間で部分開業した地下鉄丸ノ内線の初期の車輌300形も,同社の技術を導入して製造されました.
運転台上部のスイッチ類です.
何とも趣のある客室の室内灯です.
荷棚のステイも古典的なデザインですね.
元の座席は撤去されたものの,現役当時の面影は感じられます.
信濃川田駅跡で保管されていたこれらの電車と対面して,黒栁徹子さんは「まさに当時とそっくりだった」と,いたく驚嘆,感激したといいます.そして長年の彼女の悲願がここに実現を見ました.
代わりまして,モハ604号車の内部を見てみましょう.
蔵書は主に汽車モノ,電車モノを中心とした児童書が並んでいます.当日は「子どもの日」とあって,多数の親子連れなどで賑わいました.
日除けのヨロイ戸は金属のプレス製です.
こちらがモハ604号車の運転室部分.
グローブの形状に特色のある室内灯です.
昔の長野電鉄の電車内にはこういう表示が付いていました.
因みに私は旧東急5000系改め2500系の登場以前の長野電鉄の新旧全形式の電車に乗った経験があります.
ここには特急・急行自転車向けのこういう駐輪設備があるのが嬉しいところです.
鯉幟が威勢よく躍る向かい風の中を走らざるを得なかったのには気が滅入りましたが.
16時頃,豊科駅に着きました.
同駅16時06分発松本行E127系です.
この電車,北アルプス側にクロスシートが付いていますが,篠ノ井線では姨捨駅前後の雄大な車窓が今一つ見辛いのが少々残念です.
豊科から真っ直ぐ田沢駅前へ出て,これよりは主にR19(一部犀川左岸)を通って帰ります.
この日は朝方の天気が悪く,出発を2時間遅らせたために今一歩距離を伸ばせなかったのが残念でしたが,安曇野北部の初夏の風情を味わい楽しむことのできた旅路でした.
何と言っても,ちひろ公園の2輌のクラシック電車は私も当時製造後約50年を経過した現役末期に実際に乗ったことがありましたから,懐かしさもいっぱいでしたし,内装の一部が改変されているとはいえ何よりほぼ理想的に近い形で展示保存の実現を見たことは嬉しい限りです.
それではまた.
全走行距離;161.19km
実走行time;8時間42分22秒
平均時速;18.5km/h